カテゴリー別アーカイブ: 遠隔読影

nat025

遠隔画像診断した疾患;嚢胞性線維症( cystic fibrosis;CF)

  • 嚢胞性線維症( cystic fibrosis;CF)は全身の外分泌腺機能障害不全に基づく疾病
  • 特に膵と肺の病変の頻度が高い。
  • 膵臓と気道の粘液分泌線に極めて粘調な分泌液が生産されこれを閉塞することと、汗中への過剰の電解質が失われるのが特徴である。

疫学

  • 白色人種の中ではもっとも頻度の高い重篤な常染色体劣性の遺伝性疾患(出生児約2,500人あたり1人)
  • わが国では発症率は出生10万~35万人あたり1人程度

歴史

  • 1938年:膵臓と肺を冒す疾患として初めて記載された。
  • その後全身の外分泌臓器の疾患であることが明らかにされた
  • 1989年:cAMP依存性Cl-チャネルcystic fibrosis transmembrane conductance regu1ator(CFTR)をコードする原因遺伝子が単離された。
  • 日本のCF遺伝子変異が欧米のそれとは異なることが確認されており、欧米人用のスクリーニングシステムを用いても変異が検出されないと考えられる。

臨床病状

  • n難治性の下気道感染症と末期の呼吸不全を伴う呼吸器病変,膵外分泌機能不全, 胎便イレウスなどの消化管病変が代表的なものである。さらに、CFではそのほかにも胆管,汗腺,生殖器など全身の外分泌腺臓器が障害される。

呼吸器症状

  • ほぼ全例のCF患者に認められる。
  • 全CF症例の死因の約95%を肺病変が占める。

細気管支レベルの粘液の貯留、塞栓を形成

細菌(とくに緑膿菌と黄色ブドウ球菌、インフルエンザ桿菌)が粘液栓に定着

持続性の感染や炎症が成立する。

気管支は拡張し、そこにさらに粘液が貯留する

  • 悪循環が絶えることなく繰り返される。その結果、気管支拡張は増悪し、肺高血圧や肺性心を伴った呼吸不全をきたし、多くが死に至る
  • 気道病変は出生後に生ずるものであり、過分泌や異常な気道分泌物の貯留が先行し、感染の成立は二次的な病態である。

画像所見

  • 病態を反映して生後一ヶ月頃より肺尖部と背側の肺葉を中心にfingerlikeな粘液栓が見られるようになる。
  • 6ヶ月を過ぎる頃にはほぼ全例に気管支の円柱状、嚢胞状拡張を認める。拡張した気管内に粘液が駐留しair-fluid levelが見られることもある。
  • また、炎症を反映して肺門から広がる線状陰影や気管支壁の肥厚(peribronchial cuffing )が見られる。
  • 炎症により二次的に肺門、縦隔リンパ節の腫大を認める。
  • 肺の正常構造は破壊され肺気腫様のbullaも認められ、肺は過膨張する。
  • 肺動脈圧は上昇し肺動脈は拡大する。
  • 斑状の濃度上昇が認められ、部分的な無気肺を反映していると思われる
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遠隔画像診断した疾患;炎症性偽腫瘍 (inflammatory pseudotumor)

  • 1953年に Pack GTにより第一の報告があった。
  • Inflammatory pseudotumor can be defined as a localized mass consisting of a fibrous stroma, chronic inflammatory infiltrates with a predominance of plasma cells, and an absence of anaplasia, which mimic malignant disease by their gross appearance.
  • Inflammatory pseudotumors of the liver tend to be large, solitary masses, but multiple tumors have been found
  • Occlusive phlebitis of relatively large portal vein has been reported in some cases
  • Results of tissue culture or specific stain were negative for microorganisms in most instances

症状

  • 熱、心窩部痛、嘔吐、全身倦怠、体重減少。
  • 炎症性偽腫瘍が胆管を侵す場合、黄疸は発現する可能性がある。

血液検査

  • 白血球増加症と赤血球沈降速度の亢進。
  • 肝機能検査の結果は正常またはわずかに上昇する可能性がある。
  • 腫瘍マーカーは常に陰性で、鑑別診断にとって重要である。

CT所見

  • fibrous stromaの割合によって異なるが、delayed enhancementされることがある。

MRI所見

  • 腫瘍内部の凝固壊死により、間実質とT2WIで等信号のことが多いが、炎症の程度により高信号に描出されることもある。

The history of primary malignant tumors and the absence of fibrotic septum or linear appearance within the mass and the most of lesions were hyperintense on T2WI could help the differentiation.

World J Gastroentero,2001;7(3):422-424

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ユーザーの「視線」が入力装置になる。

「自分が画面のどこを見ているか」をコンピュータが読み取り、それを「入力」として扱う技術が出てきています。
技術を開発したのは,Tobii Technology(以下,Tobii)という企業で,本社は同国首都ストックホルムにあり,東京にも現地法人を持っています。

ユーザーの視線が画面のどこを見ているのかを探知する技術は、Web業界では以前から注目されてきていたそうで、ユーザーが便利に使える=利用頻度が上がる可能性があるWebページを構築するには、ユーザーが画面のどこに注目していて、画面が切り替わったときには、まずどこに注目するのか、これを細かく分析することは、大きな意味を持つかららしいです。
視線を追う「アイトラッキング」技術と、それにくわえPCをコントロールする「アイコントロール」技術も実際に使える段階にまでなってきたという感じなのでしょうか。

読影をしている時に、見逃しと言われるものがあります。
大きく3つのパターンが有ると思われます。本当に見ていないのと、見たけど所見として認識できない。何らかの所見は認識したがそれが病的ではないと判断し結果間違える。という状況です。
後者2つは経験の浅い人に多いのではないでしょうか。ベテランにはあまり見られない気がします。
誰にでも起こっているのが前者でしょうか。
もし、レポートも書き終わったし、次の症例へ、、、なんて時に、見ていない部分に色がついて確認ダイアログが出たりするようにできれば、だいぶ減るのでしょうか。

アイコントロールは清潔時のPCの操作や、精度次第ですが、通常の読影中でも威力を発揮しそうです。
例えば、マウスカーソルがあるところをアクティブにする。なんて機能が多くのビューアーにあると思われますが、これを見ているところを〜にかえるだけでも、かなり便利です。
キー画像に→入れるのも簡単にできそうです。

新しい入力装置はいろいろありますが、これはかなり期待できるのではないでしょうか。

nat025

遠隔画像診断した疾患;CO中毒(carbon monoxide poisoning)

  • 一酸化炭素は無色・無臭のガスである。
  • 1時間程度の暴露では、600~700ppmから酸素不足による症状が出始め、1000ppm以上になると重篤な症状が現れ、1500ppm以上では生命に危険が及ぶ。
  • 中毒学的薬理作用としては、一酸化炭素は酸素よりも約250倍も赤血球中のヘモグロビンと結合しやすいため、一酸化炭素ヘモグロビンを形成し、オキシヘモグロビンの形成を妨げる。また、オキシヘモグロビンの解離曲線を左方移動させ、オキシヘモグロビンによる組織への酸素供給も阻害する。つまりは、組織での酸素不足による臓器障害が病態の主体である。
  • さらに、ミオグロビンと結合することにより、心機能を低下させ、低酸素状態をより悪化させる。加えて、ミトコンドリアなどのチトクローム酵素と結合して組織呼吸自体も障害する。
  • 低酸素に対して感受性の高い中枢神経、心筋が特に障害を受けやすいが、全身が低酸素の障害を受ける。

診断

  • 血中一酸化炭素ヘモグロビン濃度の測定によってなされる。CO-Oximeterや吸光度測定法によって測定できる。

症状

  • 急性期の症状といったん意識が完全に回復した後、一週間前後してから見られる、見当識障害や錐体外路症状などの多彩な神経症状を示すことがある(遅延型)。
  • 急性一酸化炭素中毒に引き続き、遅延型白質脳症が起こる頻度は低く、0.06% ~2.8%と報告されている(2.3)。中年以降の患者に見られることが多い(3)。
  • 遅延性白質脳症の病因はいまだ明らかでない。
  • 白質病変の重症度は、一酸化炭素暴露の程度、一酸化炭素ヘモグロビン濃度、アシドーシスと相関しない(4)
  • 単純に低酸素血症による障害だけでなく、一酸化炭素のミトコンドリアなどのチトクローム酵素と結合することによる直接的な細胞障害効果の関与している可能性を示唆される(5)。
  • 痴呆、失調症、パーキンソン症候群、歩行障害と無言(2)。
  • 最も遅延型白質脳症に特徴的なのは大脳白質の脱髄及び、壊死であり、臨床症状との相関関係が認められている(6)。

一酸化炭素に関連した白質病変は3群に分類。(もちろん、オーバーラップする)

  • 第1群は、半卵円中心と半球間交連で複数の小さい壊死性病巣を認めるもの。
  • 第2群は、脳室周囲の深部白質に広く認められるもの。組織学的には軸索の障害と多数の炎症細胞が見られる。
  • 第3群は、深部白質での脱髄であり、前頭葉に見られることが多い。脳梁、内包に見られることもある。皮質下U繊維は比較的保たれることが多い(6.9)。
  • 上記の病理学的所見を反映して、CTにおいては白質に低吸収域が見られ(7)、MRIにおいてはT2強調画像で白質に高信号が見られる(10.11)。

画像所見のまとめ

  • 脳室周囲白質と半卵円中心で両側性対称性の瀰漫的な異常信号。しばしば脳梁、内包、外包に達する。
  • 皮質下U繊維は保たれる傾向がある。
  • 淡蒼球壊死は必ずしもみられるわけではない。また両側性である必要はない、片側性の場合もある(13)。
  • 視床と被殻にT2協調運動画像で低信号を認める。:これは非ヘム鉄の軸索輸送の中断が白質病変によって引き起こされ、基底核と視床で鉄の沈着が沈着するためと考えられている(15)同じような病変が多発性硬化症や脳梗塞の患者で報告されている(14.16)。

治療

  • すみやかに100%酸素投与を開始して、一刻も早くCOを洗い出し、組織低酸素状態の時間を短縮することである。
  • 高圧酸素療法は昏睡、痙攣、その他神経学的所見、心筋虚血をきたしている重症患者、妊婦の場合は考慮されるが、準備にかかる時間を考慮すると100%酸素投与が現実的。

予後

  • CO中毒による遅延性白質脳症の予後は、比較的良好である。
  • 75%は1年以内で回復する。しかし、一部には持続性の後遺症がみられる(2)。

References

1.Medical toxicology-diagnosis and treatment of human poisoning Elsevier,1988

2.Choi IS. Delayed neurologic sequelae in carbon monoxide intoxication. Arch Neurol 1983; 40:433-435.

3.LeeMH. Clinical studiesondelayed sequelae of carbon monoxide intoxication. J Korean Neuropsychiatr Assoc 1978; 15:374-385.

4.OkedaR,FunataN,TakanoT,etal. The pathogenesis of carbon monoxide encephalopathy in the acute phase: physiological and morphological correlation. Acta Neuropathol 1981; 54:1-10.

5.Ginsberg MD. Delayed neurological deterioration following hypoxia. In: Davis JN,Rowland LP, eds. Cerebral hypoxia and its consequences. New York: Raven, 1979; 21-44.

6.LapresleJ,Fardeau M. Thecentral nervous system and carbon monoxide poisoning. II. Anatomical study of brain lesions following intoxication with carbon monoxide (22 cases). Prog Brain Res 1967; 24:31-75.

7.Kobayashi K, Isaki K, Fukutani Y, et al.CT findings of the interval form of carbon monoxide poisoning compared with neuropathological findings. Eur Neurol 1984;23:34-43.

8.Kim KS,WeinbergPE,SuhJH,HoSU.Acute carbon monoxide poisoning: computed tomography of the brain. AJNR 1980; 1 :399-402.

9.Ginsberg MD, Myers RE, McDonagh BF.Experimental carbon monoxide encephalopathy in the primate. II. Clinical aspects,neuropathology, and physiologic correlation. Arch Neurol 1974; 30:209-216.

10.HorowitzAL,Kaplan R,SarpelG. Carbon monoxide toxicity: MR imaging in the brain. Radiology 1987; 162:787-788.

11.Tuchman RF,MoserFG,MosheSL. Carbon monoxide poisoning: bilateral lesions in the thalamus on MR imaging of the brain. Pediatr Radiol 1990; 20:478-479.

12.Preziosi TJ, Lindenberg R, Levy D, Christenson M. An experimental investigation in animals of the functional and morphologic effects of single and repeated exposures to high and low concentrations of carbon monoxide. Ann NY Acad Sci 1970;174:369-384.

13.TaylorR,Holgate RC. Carbon monoxide poisoning: asymmetric and unilateral changes on CT. AJNR 1988; 9:975-977.

14.Drayer B, Burger P, Hurwitz B, Dawson D,Cain J. Reduced signal intensity on MR images of thalamus and putamen in multiple sclerosis: increased iron content? AJNR 1987; 8:413-419.

15.Dietrich RB,Bradley WGJr. Ironaccumulation in the basal ganglia following severe ischemic-anoxic insults in children. Radiology 1988; 168:203-206.

16.Cross PA,AtlasSW,Grossman RI. MR evaluation of brain iron in children with cerebral infarction. AJNR 1990; ll:341-348.

nat029

日本放射線科学会の必須講習会eラーニングを受講してみました。

専門医更新のために受講が必修化されたあれです。
総会でも朝やたら早い時間だったり、全部やってなかったり、受講するのが大変だったのですが、
eラーニングが準備されました。
一応、もう全部受講済みなのですが、今後のためにも試しに受講してみました。

日本放射線科学会の会員専用ページから受講できます。
今は、「医療安全・防護」の受講ができます。

今後のeラーニングは以下の予定らしいです。
医療安全・防護:2013年9月20日~10月31日
医療の質(診断):2013年11月1日~2014年1月31日
医療の質(治療):2014年2月1日~3月31日
医療安全・防護:2014年4月1日~5月31日
医療倫理:2014年6月1日~8月31日

受けてみた感じですが、小テストがありました。
全部、正解しないと受講したことにはならないそうです。
遠隔読影するためには読影専門医必須ですから、更新のために定期的にやっていただければ、受講できないってことはなくなるので、とても助かります。