タグ別アーカイブ: 読影した疾患

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遠隔画像診断した疾患;浸透圧性髄鞘崩壊症(osmotic myelinolysis;OM)

  • 好発年齢、性差はない。
  • 低Na血症の急速補正により、Osmotic Myelinolysis(OM)が発症することは広く知られている。
  • Central Pontine Myelinolysis(CPM):橋中心に病変を認めるもの。
  • Extrapontine Myelinolysis(EPM):それ以外の部位に病変を認めるもの。
  • 病変はCTでは等から低吸収域、MRIではT1WIで低信号域、T2WI、FLAIRで高信号域を左右対称性に認める。
  • OMは電解質異常、慢性アルコール中毒、栄養不良等、慢性的な衰弱状態などでみられる脱髄性疾患である。
  • 多くは低Na血症の急速補正により発生するが、その背景に、低栄養や糖尿病、慢性腎不全、肝不全などを有する。

発生機序

発生機序については種々の説があり、

  1. 低Na血症に伴う浮腫による圧迫により脱髄が起こるとする説
  2. 浸透圧負荷による血管内皮細胞の障害とそれに引き続き起こる髄鞘障害因子の放出、並びに血液脳関門での血管透過性亢進による浮腫が原因とする説
  3. 灰白質が周囲のOligodendroglial Cellから栄養分を奪い、その結果、脱髄が起こるとする説が考えられている
  • OMの好発部位は橋、大脳基底核、視床、外包、尾状核、中脳、灰白質白質移行部である。
  • 病理学的には灰白質の中を細い束、ないし単独で走行する有髄線維の髄鞘が選択的に侵され、神経細胞、軸索、小血管は比較的保たれる。
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遠隔画像診断した疾患;後腹膜線維症(Retroperitoneal Fibrosis:RPF)

  • Albarran(1905)が最初に後腹膜線維化症(RPF)を報告し、,Ormond(1948)によって疾患概念が確立された。
  • 後腹膜線維症は、通常腹大動脈と尿管を含む非常にまれな状態である。
  • 症例の2/3:特発性
  • 1/3薬剤投与、感染症または全身病と腫瘍(約8-10%)
  • 頻度 1/200000
  • 死亡率 原因による
  • 性差 女性:男性 3:1(性差は悪性のRPFにみられない。)
  • 好発年齢 7-85(平均50歳前後)歳
  • 突発性の原因として考えられているものは
  • 動脈壁のplaqueから動脈壁外に漏れたceroidと呼ばれているinsoluble lipidに対する自己免疫反応であると考えられている。
  • The most common neoplasm is colorectal adenocarcinoma.
  • Gastric tumor locations are anecdotal, with only 6 cases reported to date.
  • At present it is not known whether retroperitoneal fibrosis in the context of neoplastic disease is due to a reactive inflammatory phenomenon, or whether it represents locoregional spread of the tumor itself.

原因

  • Drugs:Methysergide, pergolide, bromocriptine, ergotamine, methyldopa, hydralazine, analgesics, β-blockers
  • Malignant diseases:Carcinoid, Hodgkin’s and non-Hodgkin’s lymphomas, sarcomas, carcinomas of the colon, prostate, breast, stomach
  • Infections:Tuberculosis, histoplasmosis, actinomycosis
  • Radiotherapy:Testicular seminoma, colon carcinoma, pancreatic carcinoma
  • Surgery:Lymphadenectomy, colectomy, hysterectomy, aortic aneurysmectomy
  • Others

US

  • 辺縁が明瞭なlow echoic mass
  • 仙骨岬角を越えた分布と、分葉性が見られないことは良性を示唆する
  • カラードプラ超音波検査法によって両悪性の鑑別が試みられたが、最近の知見では鑑別は不可能

CT

  • 大動脈、静脈周囲の軟部組織として認められる。
  • 腸腰筋との間の脂肪織は失われる。
  • 大動脈を腹側にdisplaceさせることは少ない。
  • 腸間膜リンパ節腫大と大動脈のdisplaceは何らかの悪性疾患を疑わせる
  • 尿管を取り囲み閉塞症状を惹き起こす。
  • 大部分の腹膜後腫瘍は、横に尿管を移動させる。
  • 局所骨破壊をもたらさない。
  • 良悪性の鑑別は困難

鑑別診断

nmetastatic malignancy, lymphoma, periaortic hematoma, and amyloidosis.

MRI

  • T1強調像:低信号、T2強調像:様々な信号。
  • 活動性が高いときはT2強調像で高信号(これにより、治療効果の判定が出来る)

核医学

  • ガリウムシンチで良性RPFの活動期と悪性RPFで集積が増加する
  • FDG-PETでは、良性RPFは低い取り込みを示すが、悪性RPFは高い集積を示す

確定診断 biopsy

尿路の通過障害に対しては、腎瘻、もしくはdouble J stentの挿入が選択される

RPFに対するステロイド有効性は確立されていない

一部の報告ではステロイドが手術の際に尿管剥離を容易にすると報告している。

免疫抑制剤(アザチオプリン、シクロホスファミド、タモキシフェン)が用いられることがある

薬物関連のRPFでは、原因薬剤の中止が症状を改善させる事がある。

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遠隔画像診断した疾患;結核性髄膜炎(Tuberculous meningitis)

頭蓋内の結核

  • 結核性髄膜炎(頻度が高い)
  • 頭蓋内結核腫
  • 膿瘍,脳炎,粟粒結核(まれ)

中枢性の結核

  • 結核全体の約5~10%
  • ほとんどが血行性感染である。
  • AIDS患者においては4~19%にみられる。

病理所見

  • 膠様の滲出物による髄膜の混濁と肥厚が特徴的である。
  • この変化は脳底部の脳槽に最も強い
  • 「脳底髄膜炎」とも称される。

画像所見

  • 脳底部脳槽がTl強調像では等信号。
  • T2強調像やFLAIR像では高信号となる。
  • FLAIR sulcal hyperintensity
  • 造影後には髄膜の増強効果が見られる。
  • 肉芽腫がリング状・結節状の増強効果を示す。

髄膜の異常増強効果を示す疾患

  • DA(dura-arachnoid)型

限局性:髄膜腫などでのdural tail sign、悪性腫瘍の硬膜転移、開頭術やシャント術後、サルコイドーシス、関節リウマチ(リウマチ結節)、硬膜動静脈痩・脳梗塞・脳内出血の近傍の硬膜、頭蓋の腫瘍・炎症の近傍の硬膜、髄外造血巣

びまん牲:開頭術やシャント術後、クモ膜下出血後、superficial siderosis、髄膜炎(癌性髄膜炎を含む)、ムコ多糖症、spontaneous intracranial hypotension, idiopathic hypertrophic cranial pachymeningitis

  • PS(pia-subarachnoid space)型

限局性:サルコイドーシス

びまん性:クモ膜下出血後、各種薬剤の髄注、髄膜炎(癌性髄膜炎を含む)、サルコイドーシス、histiocytosis

脳底髄膜炎の鑑別

脳底部のクモ膜下腔を主体とした変化は,結核性髄膜炎にかなり特徴的。

  • コクシジオイデス症:米国西南部、中南米
  • クリプトコッカス症

肉芽腫性髄膜炎の鑑別疾患

  • サルコイド一シス
  • 真菌性髄膜炎(クリプトコッカスなど)
  • 梅毒性髄膜炎
  • 癌性髄膜炎
  • 嚢胞条虫症:結核腫が目立つとき

T スポット®.TB とは

  • Interferon Gamma Release Assay (インターフェロンγ遊離試験,以下IGRA)
  • BCG 接種や非結核性抗酸菌の影響を受けない
  • 日本では 2000 年のはじめころからクォンティフェロン®TB (以下,QFT)が使われるようになっていた
  • Tスポット®..TB(以下,T Spot)は IGRA の一つ
  • QFT よりも感度は高い、特異度は低いとの報告が多かったが 、変わらないとの報告もあり。
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遠隔画像診断した疾患;胆道損傷(Bile Duct Injury)

  • 発症頻度は稀であり、腹部外傷の0.4-1.0%を占める。
  • 門脈損傷、十二指腸損傷・膵合併損傷、十二指腸損傷、膵損傷、肝損傷などの隣接臓器の合併損傷を伴うことが多い。
  • Steering wheel injuryによるものが多い。

発生機序

  • 圧迫説:右季肋部に加えられた外力により,胆道が直接脊椎に圧迫され裂傷をきたす。

Lewis KM:Traumatic rupture of the bile duct.Ann Surgl 8:237-242,1938.

  • 内圧上昇説:外力によりまず胆嚢が圧迫をうけて,その圧が胆管に伝わり裂傷をきたす。

Mason LB:Rupture ofthe extrahepatic bile ductfromnon Penetrating trauma.Ann Surg140:234-241,1954.

  • 伸展説:外力により肝が上方に圧排され,その結果総胆管が後腹膜に固定されている膵内胆管への移行部で過度の張力をうけて裂傷をきたす。

MohardtJH:Traumaticrupture ofthe common bile duct.Bull Northwest,Univ Med Schoo130:16-20,1956.

胆道損傷の分類

  • 胆のう損傷
  • 総胆管損傷
  • 肝管損傷(左右肝管、総肝管)
  • 本邦における集計では総肝管損傷は全胆道損傷の18%

中 山 和 道ほか:胆 道 損 傷 肝胆膵 8(2):195-202,1984

症状

受傷初期

  • 胆汁の化学的刺激による一過性のショック。(受傷後3~4時間後に改善するが、頻脈は残ることが多い)
  • 右季肋部の自発痛、圧痛(無症状のこともある)

受傷後3~4日後

  • 黄疸、腹部の膨隆

中 山 和 道ほか:胆 道 損 傷 肝胆膵 8(2):195-202,1984

画像所見

  • 周辺臓器の合併損傷
  • 胆管周囲の液体貯留
  • 初診時CTでは診断困難なことが多い

確定診断

  • 胆道胆嚢シンチグラフィ
  • ERCP
  • (CT cholangiography )
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遠隔画像診断した疾患;3型先天性嚢胞性腺腫様肺奇形(先天性肺気道奇形)(congenital pulmonary airway malformation type 3)

  • 肺の形成過程で気管支の閉塞機転の起こる時期と閉鎖のレベルにより先天性肺嚢胞性疾患の病因を一元的に説明しようとする考え方もある。
  • Stockerは1977年に嚢胞の大きさによりCCAMを三型に分類した。
  • その後1994年にはこの概念を病変の気道レベルと関連させて拡大し、Congenital Pulmonary Airway Malformation(CPAM)としてさらに広い範囲の肺嚢胞性疾患を包括して五型に分けた新分類が提唱された。(この新しい概念は注目を集めているが、完全なコンセンサスは得られていない。)

CCAMのストーカー(Stoker)分類

  • I 型大きいのう胞(通常、2cm以上)からなる
  • II 型多数の小さいのう胞(通常、1cm以下)からなる
  • III 型 微細なのう胞(通常、5mm以下)のため肉眼ではのう胞が明らかでない

Congenital Pulmonary airway malformation (CPAM, 先天性肺気道奇形)

Epidemiology

  • すべての先天性肺病変の25%
  • 4-26%の症例は、他の先天異常と関係していることがありえる。
  • 推定発病率:25,000-35,000妊娠につき1つの症例。

Subtypes

  • CPAM type 0 – acinar dysplasia (rare)
  • CPAM type 1 – bronchial/bronchiolar (65%)
  • CPAM type 2 – bronchiolar (20~25%)
  • CPAM type 3 – bronchiolar/alveolar duct(8%)
  • CPAM type 4 – peripheral (rare)

CPAM type 3

  • 3型CPAMはしばしば非常に大きく、全て、またはいくつかの葉に影響を及ぼす。
  • 腺房由来の異常で、末しょう気道または気腔の腺腫様増殖から成る。
  • 嚢胞と個体組織の混成から成る可能性があるか、完全にsolidに見える可能性がある。
  • 分化の不足があるので、妊娠の初期に発症すると考えられる。
  • 嚢胞は直径0.5cm未満で、非繊毛性立方上皮によって内側を覆われる。
  • 他の構築物は、繊毛性立方上皮によって沿って並ばれる。
  • 非常に薄い線維筋性の層と増加した弾性組織が存在し、2型病変と類似している。
  • 粘液を分泌している細胞と軟骨はない。
  • CPAMは散発的に起こる、そして、出現は母系要因(例えば人種、年齢または暴露量)に関連がない。
  • ほぼCPAMの出生前診断を有する患者の半分が出生時無症候性であるにもかかわらず、CPAMの予後はそのサブタイプに依存する。
  • CPAM 3型は、もっとも重篤な型の一つである。

合併奇形

pulmonary malformations

  • extralobar sequestration
  • bronchial atresia
  • polyalveolar lobe

renal malformations

  • cystic renal disease
  • renal agenesis

ovarian germ cell hypoplasia

malignant tumors

  • pleuropulmonary blastoma (bilateral type 4 CCAM with stromal cellularity) (14%)
  • rhabdomyosarcoma
  • bronchioloalveolar carcinoma (31% of type 1 CCAM)

chromosomal anomalies