タグ別アーカイブ: 読影した疾患

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遠隔画像診断した疾患;血管内リンパ腫(intravascular lymphoma: IVL)

  • 循環血液内で増殖している腫瘍細胞が脳と脊髄の両方でびまん性梗塞を引き起こす。
  • 血管板の腫瘍細胞は血栓症をしばしば伴う。
  • 影響を受けた血管のサイズと分布に従い、さまざまな臨床症状を示す。
  • 皮膚小結節またはプラークを伴う。(しばしば末梢血管拡張を合併する)
  • 特徴的な変化は、悪性リンパ腫細胞による脳や髄膜での小さい血管の拡張と閉鎖。
  • 中型の血管で見つからない。

画像所見

  • T2強調画像上で、大脳白質のpatchy high signal lesions。
  • 脳実質と脊髄または脊髄円錐に同時に見られる高信号病変は、血管内悪性リンパ腫症に特徴的。
  • T2WIhigh signal lesionsは拡散強調画像で高信号。

拡散強調画像の上で高い信号強度を示している白質病変の鑑別診断は

  • progressive multifocal leukoence phalopathy
  • gliomatosis cerebri
  • demyelinating disease, such as multiple sclerosis
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遠隔画像診断した疾患;CO中毒(carbon monoxide poisoning)

  • 一酸化炭素は無色・無臭のガスである。
  • 1時間程度の暴露では、600~700ppmから酸素不足による症状が出始め、1000ppm以上になると重篤な症状が現れ、1500ppm以上では生命に危険が及ぶ。
  • 中毒学的薬理作用としては、一酸化炭素は酸素よりも約250倍も赤血球中のヘモグロビンと結合しやすいため、一酸化炭素ヘモグロビンを形成し、オキシヘモグロビンの形成を妨げる。また、オキシヘモグロビンの解離曲線を左方移動させ、オキシヘモグロビンによる組織への酸素供給も阻害する。つまりは、組織での酸素不足による臓器障害が病態の主体である。
  • さらに、ミオグロビンと結合することにより、心機能を低下させ、低酸素状態をより悪化させる。加えて、ミトコンドリアなどのチトクローム酵素と結合して組織呼吸自体も障害する。
  • 低酸素に対して感受性の高い中枢神経、心筋が特に障害を受けやすいが、全身が低酸素の障害を受ける。

診断

  • 血中一酸化炭素ヘモグロビン濃度の測定によってなされる。CO-Oximeterや吸光度測定法によって測定できる。

症状

  • 急性期の症状といったん意識が完全に回復した後、一週間前後してから見られる、見当識障害や錐体外路症状などの多彩な神経症状を示すことがある(遅延型)。
  • 急性一酸化炭素中毒に引き続き、遅延型白質脳症が起こる頻度は低く、0.06% ~2.8%と報告されている(2.3)。中年以降の患者に見られることが多い(3)。
  • 遅延性白質脳症の病因はいまだ明らかでない。
  • 白質病変の重症度は、一酸化炭素暴露の程度、一酸化炭素ヘモグロビン濃度、アシドーシスと相関しない(4)
  • 単純に低酸素血症による障害だけでなく、一酸化炭素のミトコンドリアなどのチトクローム酵素と結合することによる直接的な細胞障害効果の関与している可能性を示唆される(5)。
  • 痴呆、失調症、パーキンソン症候群、歩行障害と無言(2)。
  • 最も遅延型白質脳症に特徴的なのは大脳白質の脱髄及び、壊死であり、臨床症状との相関関係が認められている(6)。

一酸化炭素に関連した白質病変は3群に分類。(もちろん、オーバーラップする)

  • 第1群は、半卵円中心と半球間交連で複数の小さい壊死性病巣を認めるもの。
  • 第2群は、脳室周囲の深部白質に広く認められるもの。組織学的には軸索の障害と多数の炎症細胞が見られる。
  • 第3群は、深部白質での脱髄であり、前頭葉に見られることが多い。脳梁、内包に見られることもある。皮質下U繊維は比較的保たれることが多い(6.9)。
  • 上記の病理学的所見を反映して、CTにおいては白質に低吸収域が見られ(7)、MRIにおいてはT2強調画像で白質に高信号が見られる(10.11)。

画像所見のまとめ

  • 脳室周囲白質と半卵円中心で両側性対称性の瀰漫的な異常信号。しばしば脳梁、内包、外包に達する。
  • 皮質下U繊維は保たれる傾向がある。
  • 淡蒼球壊死は必ずしもみられるわけではない。また両側性である必要はない、片側性の場合もある(13)。
  • 視床と被殻にT2協調運動画像で低信号を認める。:これは非ヘム鉄の軸索輸送の中断が白質病変によって引き起こされ、基底核と視床で鉄の沈着が沈着するためと考えられている(15)同じような病変が多発性硬化症や脳梗塞の患者で報告されている(14.16)。

治療

  • すみやかに100%酸素投与を開始して、一刻も早くCOを洗い出し、組織低酸素状態の時間を短縮することである。
  • 高圧酸素療法は昏睡、痙攣、その他神経学的所見、心筋虚血をきたしている重症患者、妊婦の場合は考慮されるが、準備にかかる時間を考慮すると100%酸素投与が現実的。

予後

  • CO中毒による遅延性白質脳症の予後は、比較的良好である。
  • 75%は1年以内で回復する。しかし、一部には持続性の後遺症がみられる(2)。

References

1.Medical toxicology-diagnosis and treatment of human poisoning Elsevier,1988

2.Choi IS. Delayed neurologic sequelae in carbon monoxide intoxication. Arch Neurol 1983; 40:433-435.

3.LeeMH. Clinical studiesondelayed sequelae of carbon monoxide intoxication. J Korean Neuropsychiatr Assoc 1978; 15:374-385.

4.OkedaR,FunataN,TakanoT,etal. The pathogenesis of carbon monoxide encephalopathy in the acute phase: physiological and morphological correlation. Acta Neuropathol 1981; 54:1-10.

5.Ginsberg MD. Delayed neurological deterioration following hypoxia. In: Davis JN,Rowland LP, eds. Cerebral hypoxia and its consequences. New York: Raven, 1979; 21-44.

6.LapresleJ,Fardeau M. Thecentral nervous system and carbon monoxide poisoning. II. Anatomical study of brain lesions following intoxication with carbon monoxide (22 cases). Prog Brain Res 1967; 24:31-75.

7.Kobayashi K, Isaki K, Fukutani Y, et al.CT findings of the interval form of carbon monoxide poisoning compared with neuropathological findings. Eur Neurol 1984;23:34-43.

8.Kim KS,WeinbergPE,SuhJH,HoSU.Acute carbon monoxide poisoning: computed tomography of the brain. AJNR 1980; 1 :399-402.

9.Ginsberg MD, Myers RE, McDonagh BF.Experimental carbon monoxide encephalopathy in the primate. II. Clinical aspects,neuropathology, and physiologic correlation. Arch Neurol 1974; 30:209-216.

10.HorowitzAL,Kaplan R,SarpelG. Carbon monoxide toxicity: MR imaging in the brain. Radiology 1987; 162:787-788.

11.Tuchman RF,MoserFG,MosheSL. Carbon monoxide poisoning: bilateral lesions in the thalamus on MR imaging of the brain. Pediatr Radiol 1990; 20:478-479.

12.Preziosi TJ, Lindenberg R, Levy D, Christenson M. An experimental investigation in animals of the functional and morphologic effects of single and repeated exposures to high and low concentrations of carbon monoxide. Ann NY Acad Sci 1970;174:369-384.

13.TaylorR,Holgate RC. Carbon monoxide poisoning: asymmetric and unilateral changes on CT. AJNR 1988; 9:975-977.

14.Drayer B, Burger P, Hurwitz B, Dawson D,Cain J. Reduced signal intensity on MR images of thalamus and putamen in multiple sclerosis: increased iron content? AJNR 1987; 8:413-419.

15.Dietrich RB,Bradley WGJr. Ironaccumulation in the basal ganglia following severe ischemic-anoxic insults in children. Radiology 1988; 168:203-206.

16.Cross PA,AtlasSW,Grossman RI. MR evaluation of brain iron in children with cerebral infarction. AJNR 1990; ll:341-348.

遠隔画像診断した疾患;左上大静脈遺残(PLSVC: persistent left superior vena cava)

ネタ切れしてきたので、読影中にみた疾患の説明をシリーズ化します!
これなら、定期的にネタができて、勉強にもなり一石二鳥です。
個人情報の関係もあるんで、症例提示はしません。あくまで疾患の説明です。

第一弾は左上大静脈遺残(PLSVC: persistent left superior vena cava)です。

  • 頻度は一般剖検例において 0.4% 程度、先天性心疾患の患者では 2~4%に合併
  • 胎生期には上大静脈は左右に2本あり、本来であれば発生の過程で右側で一本に合流してゆく。胎生期の左前主静脈が何らかの原因で閉塞しなかった場合に発生
  • 左右両方に上大静脈がある場合は重複上大静脈
  • PLSVCは冠静脈洞(coronary sinus)に開口することがほとんど
  • 左心房に直接還流する例もあり、PLSVC 全体の中でも 1~4% ときわめて少ない
  • coronary sinusは拡大していることが多い(10mm以上)。
  • 左上肢の点滴ラインよりマイクロバブルの入った液体を注入するとcoronary sinusに泡が出現することで確定診断
  • PLSVCそのものは治療が必要ではない
  • PLSVC の大多数は臨床的に無症状であり、左鎖骨下静脈からの心臓ペースメーカー、もしくは中心静脈カテーテル挿入時に偶然発見されたという報告が多い
  • 体外循環をまわす際などの手順が異なるので注意
  • 冠静脈洞に開口している場合、CVカテーテルを留置すると、血栓を形成することがある
  • まれに、拡大したcoronary sinusのLA側に窓状の欠損をともない、そこを経由するL→Rシャントを併発するものがある

今回経験した症例もCVカテーテルのカテ先の確認したところ、位置がおかしいとCTの依頼がされました。冠静脈洞に開口している場合、CVカテーテルを留置すると、血栓を形成することがあるとされている文献がある旨を主治医に伝えたところ、念のためCVカテーテルを留置し直すこととなりました。
経験的にもカテ先に血栓がついていることはよく経験されるので、留置し直す方がリスクが少ないと思われました。
解剖の正常変異や挿入物の位置異常に関しても読影するようにしています。