カテゴリー別アーカイブ: 遠隔読影

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遠隔画像診断した疾患;後腹膜線維症(Retroperitoneal Fibrosis:RPF)

  • Albarran(1905)が最初に後腹膜線維化症(RPF)を報告し、,Ormond(1948)によって疾患概念が確立された。
  • 後腹膜線維症は、通常腹大動脈と尿管を含む非常にまれな状態である。
  • 症例の2/3:特発性
  • 1/3薬剤投与、感染症または全身病と腫瘍(約8-10%)
  • 頻度 1/200000
  • 死亡率 原因による
  • 性差 女性:男性 3:1(性差は悪性のRPFにみられない。)
  • 好発年齢 7-85(平均50歳前後)歳
  • 突発性の原因として考えられているものは
  • 動脈壁のplaqueから動脈壁外に漏れたceroidと呼ばれているinsoluble lipidに対する自己免疫反応であると考えられている。
  • The most common neoplasm is colorectal adenocarcinoma.
  • Gastric tumor locations are anecdotal, with only 6 cases reported to date.
  • At present it is not known whether retroperitoneal fibrosis in the context of neoplastic disease is due to a reactive inflammatory phenomenon, or whether it represents locoregional spread of the tumor itself.

原因

  • Drugs:Methysergide, pergolide, bromocriptine, ergotamine, methyldopa, hydralazine, analgesics, β-blockers
  • Malignant diseases:Carcinoid, Hodgkin’s and non-Hodgkin’s lymphomas, sarcomas, carcinomas of the colon, prostate, breast, stomach
  • Infections:Tuberculosis, histoplasmosis, actinomycosis
  • Radiotherapy:Testicular seminoma, colon carcinoma, pancreatic carcinoma
  • Surgery:Lymphadenectomy, colectomy, hysterectomy, aortic aneurysmectomy
  • Others

US

  • 辺縁が明瞭なlow echoic mass
  • 仙骨岬角を越えた分布と、分葉性が見られないことは良性を示唆する
  • カラードプラ超音波検査法によって両悪性の鑑別が試みられたが、最近の知見では鑑別は不可能

CT

  • 大動脈、静脈周囲の軟部組織として認められる。
  • 腸腰筋との間の脂肪織は失われる。
  • 大動脈を腹側にdisplaceさせることは少ない。
  • 腸間膜リンパ節腫大と大動脈のdisplaceは何らかの悪性疾患を疑わせる
  • 尿管を取り囲み閉塞症状を惹き起こす。
  • 大部分の腹膜後腫瘍は、横に尿管を移動させる。
  • 局所骨破壊をもたらさない。
  • 良悪性の鑑別は困難

鑑別診断

nmetastatic malignancy, lymphoma, periaortic hematoma, and amyloidosis.

MRI

  • T1強調像:低信号、T2強調像:様々な信号。
  • 活動性が高いときはT2強調像で高信号(これにより、治療効果の判定が出来る)

核医学

  • ガリウムシンチで良性RPFの活動期と悪性RPFで集積が増加する
  • FDG-PETでは、良性RPFは低い取り込みを示すが、悪性RPFは高い集積を示す

確定診断 biopsy

尿路の通過障害に対しては、腎瘻、もしくはdouble J stentの挿入が選択される

RPFに対するステロイド有効性は確立されていない

一部の報告ではステロイドが手術の際に尿管剥離を容易にすると報告している。

免疫抑制剤(アザチオプリン、シクロホスファミド、タモキシフェン)が用いられることがある

薬物関連のRPFでは、原因薬剤の中止が症状を改善させる事がある。

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遠隔画像診断した疾患;結核性髄膜炎(Tuberculous meningitis)

頭蓋内の結核

  • 結核性髄膜炎(頻度が高い)
  • 頭蓋内結核腫
  • 膿瘍,脳炎,粟粒結核(まれ)

中枢性の結核

  • 結核全体の約5~10%
  • ほとんどが血行性感染である。
  • AIDS患者においては4~19%にみられる。

病理所見

  • 膠様の滲出物による髄膜の混濁と肥厚が特徴的である。
  • この変化は脳底部の脳槽に最も強い
  • 「脳底髄膜炎」とも称される。

画像所見

  • 脳底部脳槽がTl強調像では等信号。
  • T2強調像やFLAIR像では高信号となる。
  • FLAIR sulcal hyperintensity
  • 造影後には髄膜の増強効果が見られる。
  • 肉芽腫がリング状・結節状の増強効果を示す。

髄膜の異常増強効果を示す疾患

  • DA(dura-arachnoid)型

限局性:髄膜腫などでのdural tail sign、悪性腫瘍の硬膜転移、開頭術やシャント術後、サルコイドーシス、関節リウマチ(リウマチ結節)、硬膜動静脈痩・脳梗塞・脳内出血の近傍の硬膜、頭蓋の腫瘍・炎症の近傍の硬膜、髄外造血巣

びまん牲:開頭術やシャント術後、クモ膜下出血後、superficial siderosis、髄膜炎(癌性髄膜炎を含む)、ムコ多糖症、spontaneous intracranial hypotension, idiopathic hypertrophic cranial pachymeningitis

  • PS(pia-subarachnoid space)型

限局性:サルコイドーシス

びまん性:クモ膜下出血後、各種薬剤の髄注、髄膜炎(癌性髄膜炎を含む)、サルコイドーシス、histiocytosis

脳底髄膜炎の鑑別

脳底部のクモ膜下腔を主体とした変化は,結核性髄膜炎にかなり特徴的。

  • コクシジオイデス症:米国西南部、中南米
  • クリプトコッカス症

肉芽腫性髄膜炎の鑑別疾患

  • サルコイド一シス
  • 真菌性髄膜炎(クリプトコッカスなど)
  • 梅毒性髄膜炎
  • 癌性髄膜炎
  • 嚢胞条虫症:結核腫が目立つとき

T スポット®.TB とは

  • Interferon Gamma Release Assay (インターフェロンγ遊離試験,以下IGRA)
  • BCG 接種や非結核性抗酸菌の影響を受けない
  • 日本では 2000 年のはじめころからクォンティフェロン®TB (以下,QFT)が使われるようになっていた
  • Tスポット®..TB(以下,T Spot)は IGRA の一つ
  • QFT よりも感度は高い、特異度は低いとの報告が多かったが 、変わらないとの報告もあり。
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遠隔画像診断した疾患;胆道損傷(Bile Duct Injury)

  • 発症頻度は稀であり、腹部外傷の0.4-1.0%を占める。
  • 門脈損傷、十二指腸損傷・膵合併損傷、十二指腸損傷、膵損傷、肝損傷などの隣接臓器の合併損傷を伴うことが多い。
  • Steering wheel injuryによるものが多い。

発生機序

  • 圧迫説:右季肋部に加えられた外力により,胆道が直接脊椎に圧迫され裂傷をきたす。

Lewis KM:Traumatic rupture of the bile duct.Ann Surgl 8:237-242,1938.

  • 内圧上昇説:外力によりまず胆嚢が圧迫をうけて,その圧が胆管に伝わり裂傷をきたす。

Mason LB:Rupture ofthe extrahepatic bile ductfromnon Penetrating trauma.Ann Surg140:234-241,1954.

  • 伸展説:外力により肝が上方に圧排され,その結果総胆管が後腹膜に固定されている膵内胆管への移行部で過度の張力をうけて裂傷をきたす。

MohardtJH:Traumaticrupture ofthe common bile duct.Bull Northwest,Univ Med Schoo130:16-20,1956.

胆道損傷の分類

  • 胆のう損傷
  • 総胆管損傷
  • 肝管損傷(左右肝管、総肝管)
  • 本邦における集計では総肝管損傷は全胆道損傷の18%

中 山 和 道ほか:胆 道 損 傷 肝胆膵 8(2):195-202,1984

症状

受傷初期

  • 胆汁の化学的刺激による一過性のショック。(受傷後3~4時間後に改善するが、頻脈は残ることが多い)
  • 右季肋部の自発痛、圧痛(無症状のこともある)

受傷後3~4日後

  • 黄疸、腹部の膨隆

中 山 和 道ほか:胆 道 損 傷 肝胆膵 8(2):195-202,1984

画像所見

  • 周辺臓器の合併損傷
  • 胆管周囲の液体貯留
  • 初診時CTでは診断困難なことが多い

確定診断

  • 胆道胆嚢シンチグラフィ
  • ERCP
  • (CT cholangiography )
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遠隔画像診断した疾患;中脳周囲非動脈瘤性くも膜下出血Perimesencephalic nonaneurysmal SAH

出血源不明のSAH

  • n4-vesselstudyを行っても出血源を同定できないSAHが4-22%ある。
  • nangiogram-negative SAHは一般的に予後良好とされる

分類

  • 中脳周囲非動脈瘤性くも膜下出血(perimesencephalic nonaneurysmal SAH)
  • 脳底槽のびまん性ないし前方にあるSAH
  • CTもCAGも正常で、症状および髄液が出血を示唆する場合

Rinkel ら : Stroke24 : 1403, 1993

Perimesencephalic nonaneurysmal SAH

  • 血管撮影で陰性のSAHの21-68%をしめる。
  • 大抵50歳くらいの比較的若い層に多い。
  • 1/3の例で発症前に激しい活動を見る。
  • 発症時の症状は頭痛以外は正常である。
  • 経過は順調で、再出血や症候性血管攣縮は有位に低い。

Kawamura ら : ActaNeurochir (Wien) 106 : 110, 1990

 

  • 動脈瘤破裂例が10%の頻度で存在するので、脳血管撮影の再検は必須。

Kallmes ら: Radiology201 : 657, 1996

  • 出血原因は橋前ない脚間層における拡張静脈ないし静脈奇形 潜在性AVMの破裂が考えられる。

Ronkainen ら : ActaNeurochir (Wien) 119 : 29, 1992

画像所見

  • 中脳周囲槽を中心とした高吸収域。非対称性にみられる
  • シルビウス裂の基部(37%)にみられても外側シルビウス裂までひろがらない。
  • 半球間裂後半部(17%)に見られても前半間裂にまで広がらない。
  • 脚間槽(96%)
  • 一側または両側の視交叉槽に広がる(46%)
  • 迂回槽(88%)
  • 一部四丘板槽(19%)

予後

  • 活動制限は不要で、2~3週間後に退院させその後正常生活にもどらせる。
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CT、MRIの読み方、トレーニング方法

うちのブログの1番の人気記事が以前書いたCT、MRIの読み方という記事です。

ちょっと意外な結果です。画像の見方は人によって違うといった趣旨の記事ですが、おそらく、そのような記事が人気を集めるとは思いにくいので、検索してみて来ていただいたかたの多くがCT、MRIの読み方のhow toを期待してきたのではないかと思っています。

なので、how toに関する記事を書こうかなと思ったのですが、なかなか難しいですよね。大学にいた頃も学生さんや、研修医のかたから読み方を教えてほしいなどとよく言われたものですが、そんなにすぐ教えられるものではないですよね。別に出し渋っているわけではないのです。

たとえば、テレビで牧場の人がこの牛は可愛いとかいっている場面を見たことがないでしょうか?僕からも見たらどの牛も一緒に見えます。また、競馬のパドックの中継で解説者がすごいきれいな馬だとか、いい体格だなんて言ってる時も、僕には他の馬との違いがわかりません。
外人の顔が同じに見える人は多いのではないでしょうか?外人からすると日本人の顔はみんな一緒に見えるそうです。

何を言いたいかというと見慣れると細かな違いが見えてくるということです。なので、これは、写真を見慣れてくると異常がわかるということです。
何が異常か?との問いの答えは正常でないところが異常だといえます。
普段見ているのと一緒、他の人と同じ部分が正常である可能性が高いです。

なので、これはとにかく多く見るしか身に付ける方法はないと思います。実際、患者を診察することがすくない放射線科読影医師にとって他科に対する唯一のアドバンテージで、最大のアドバンテージなっていると思います。実際1日中画像見ているというのは放射線科以外ではできないとおもいます。外来をやって病棟やった後に放射線科医が1日掛けてみた数と同じ数の画像見るのは多くの人ができるとは思えないからです。

正直、初学者の方たちは教科書に載っているキー画像を見てもどこが異常かわからないぐらいのレベルじゃないでしょうか。実際、僕は最初の頃はそのレベルだった記憶があります。キー画像があって、その全てにシェーマが書いてあって、画像の解説している本を見たときに、なんていい本なんだとか思ったのを覚えています。
キー画像は誰が見てもわかると思われる、本当に典型的な症例を選んでいるにもかかわらず最初はわからないんですよね。
このような段階で教科書を読んでもあまり意味はないような気がします。
とにかく異常であることに気づくのが1番大事な気がします。異常であることが気づければ、誰かに聞くなり調べるなりなんとかなるものです。

では、どれくらい画像見ればいいのかということですが、人によって違うとは思いますが自分は専門医の1次試験の受験直前ぐらいだったように思われます。後輩などを見ていると人によって違いますがやはり同じぐらい時間かかってるように思えます。
見えるようになったなーとおもって、しばらくすると今まで見えていなかったものが見えるようになってきて、急にそれが異常かどうか気になるようになります。その状態でさらに症例を重ねて、それが正常だか正常でないか自分の中での正常のデータベースの微調整・形成していきます。そのような壁を何回か越えた後に全部見えたなぁと思えるようになってくるのものだと思います。

なので、読影のトレーニング方法はまず最初の段階ではいっぱい見るということだけだと思われます。そのような環境に身をおける唯一の方法は放射線科に入局することだと思います。
なんじゃそらってな結論ですいません。