月別アーカイブ: 2014年3月

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遠隔画像診断した疾患:脾動脈瘤(splenic artery aneurysm)

  • 脾動脈瘤は比較的稀な疾患
  • 腹部内臓動脈瘤の中では約60%を占める
  • 性差4:1(女性:男性)
  • 真性瘤破裂の頻度:3~10%
  • 死亡率:10~25%
  • 特に妊娠中や門脈圧亢進症合併例は高率
  • 仮性瘤は大きさに関係なく破裂しやすく, 致死率も高い

脾動脈瘤の成因

  • Group Ⅰ-動脈の形成不全
  • Group Ⅱ-脾腫を伴う門脈圧亢進症
  • Group Ⅲ-動脈の限局性炎症
  • Group Ⅳ-女性の原因不明例(高血圧,動脈硬化,多産が原因と考えられている)
  • Group Ⅴ-男性の原因不明例(高血圧,動脈硬化と考えられている)

60例の報告では,I型8例,Ⅱ型6例,Ⅲ型3例,IV型35例,Ⅴ型8例でIV型が最も多い

Stanley JC, Surgery 76 : 898―909, 1974

脾動脈の解剖

  • splenic arteryは胃や膵臓の血流も供給する
  • 脾門部で,2~3本の terminal branchに分岐する(2本:80%,3本:20%)
  • terminal branchは4-6本のsegmental intrasplenic branchに分岐する
  • superior polar arteryは通常 distal splenic arteryから分岐する
  • その他,superior terminal artery
  • inferior polar artery は通常left gastroepiploic arteryから分岐する
  • その他,distal splenic artery もしくはinferior terminal artery
  • splenic arteryは多くの膵体尾部への branches をもつ
  • dorsal pancreatic artery,greater pancreatic artery
  • splenic arteryのmiddle segmentから分岐する
  • short gastric branches
  • terminal branchから分岐することが多い.その他,left gastroepiploic artery
  • 非常に細長い血管で2-10本
  • left gastroepiploic branch
  • 解剖例では72%でdistal splenic arteryから分岐していた。(その他、inferior terminal branchもしくはその分枝)

RadioGraphics 2005; 25:S191–S211

治療の適応

  • 仮性瘤
  • 瘤径20mm以上or増大傾向のある動脈瘤
  • 門脈圧亢進症のある症例
  • 肝移植を計画中の症例
  • 妊娠中あるいは妊娠希望のある女性

様々な治療法

  • 開腹での脾動脈結紮または切断:1.3%の死亡率,合併症の97%の発生率

Trastek VF et al. World Journal of Surgery. 1985 Jun 1;9(3):378-383.

  • 血管内治療法の成功率:85%

McDermott VG et al.Radiology. 1994 Jul 1;17(4):179-184.

  • McDermott et al.ステント留置を含む血管内治療法の成功率92%

Guillon R et al. CardioVascular and Interventional Radiology. 2003 Jun 1;26(3):256-260.

塞栓物質の選択

  • 金属コイル
  • 一般にはコイルでの塞栓が第一選択
  • 離脱式バルーン
  • NBCAなどの不活性物質
  • 膵内小分枝閉塞による膵炎を併発する可能性があるため, 原則使用しない
  • 破裂緊急例や出血例では状況に応じ使用する
  • セルフオームスポンジ(GS)

packing法

  • isolation法のできない瘤径20mm以下の動脈瘤

isolation法

  • 瘤径20mmを超えるものや多発例

stent-graft挿入

  • 脾血流の温存ができ合併症の低減が図れる
  • 腹腔動脈の分岐角度が急峻な場合、屈曲・蛇行した脾動脈にステントを挿入し留置することは困難

合併症

  • 脾梗塞
  • 塞栓後症候群:発熱, WBC↑, 疼痛
  • 脾梗塞なくても, 脾血流の低下により, 若干の疼痛と熱は回避不能
  • 膵炎
  • 脾膿瘍
  • 胸水

脾梗塞

  • 脾門部動脈瘤術後の部分梗塞は, 不可避の合併症と考えられている
  • 脾内枝を全て塞栓すると, 完全脾梗塞をおこし脾膿瘍, 脾破裂, 敗血症, 脾静脈血栓症, 気管支肺炎などの合併症のriskが上昇する
  • 左胃大網動脈または短胃動脈から生じている側副循環を考慮して, 広範囲な脾梗塞を回避する
  • 動物実験では, 脾切除術後に感染に対する免疫機能の保持には, 脾実質を30%残存させる必要があることが示されている

Coil JA et al. J. Surg. Res. 1980 Jan ;28(1):18-22.

  • 術中, 前後の抗生剤の投与が推奨される
  • 広域スペクトル抗生剤を1週間投与

術後の評価

  • 造影CT
  • 動脈瘤はmetal artifactの為評価困難
  • Doppler echo, MRAまたはDSAが有用
  • 合併症の評価に有用
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遠隔画像診断した疾患:閉鎖孔ヘルニア(Obturator hernia)

  • •閉鎖孔の外上方で、後腹膜腔から大腿に向けて閉鎖膜を貫いて走行している閉鎖管を通って大腿内側に脱出するもの。
  • 60歳以上の高齢者が80%
  • 男女比は 1:20~25 と圧倒的に女性に多い。(やせ型の多産婦に多い。)
  • 嵌頓臓器はほとんどが、回盲弁から100cm以内の小腸。
  • 一般の腸閉塞のうち閉鎖孔ヘルニアが原因となることは0.4%と非常に稀。
  • ヘルニアは大腿の深部に突出するので、通常腫瘤として気づかれることはほとんどない。
  • ヘルニア門が小さく強靭であるため嵌頓を起こしやすく、嵌頓によって初めて症状が起こる。
  • 小腸の嵌頓型は50~78%が、腸管壁の一部が嵌頓する Richter 型嵌頓。
  • このため初期には不完全腸閉塞が生じて腹痛・嘔吐が出ても、自然環納が起こり症状が改善してしまうことがある。
  • 自然環納が起こらずに時間が経過すると完全腸閉塞に進展する。
  • 閉鎖管内を走行する閉鎖神経が圧迫されて、膝から大腿内側、時に股関節部に痛みが出現することがある。痛みは大腿を伸展・外転・外旋させたり、咳をさせると増強する(Howship-Rombergsign)。
  • 開腹歴のない高齢女性の腸閉塞では、大腸ガンによるものと、ヘルニアを考える。
  • 鼠径/大腿ヘルニアは身体所見で診断できる。閉鎖孔ヘルニアは、骨盤の閉鎖孔に腸管が嵌頓し腸閉塞で発症する。
  • 高齢で、低身長の痩せ形女性に多い。数年前までは、外表変化が全くないためベッドサイドで診断することは不可能とされてきたが、近年、CT で容易に診断できるようになり、さらに最近では、US による術前診断率が向上してきた。
  • 腸閉塞では、腹部の診察だけで済ませがちであるが、下着を下ろして、鼠径部のUS を行うことが必要である。鼠径靭帯のやや尾側で、外閉鎖筋と、恥骨筋の間に嵌頓腸管が見える。
  • 直腸診で圧痛のある閉鎖孔ヘルニアを蝕知できる。

Howship-Romberg 症状

•閉鎖神経圧迫症状による大腿内側におよぶ疼痛。

画像所見

•閉鎖孔外側に、径約1-2cm大の造影効果を伴わない腫瘤影を認める。

腫瘤は骨盤内の腸管と連続し、口側腸管の著明な拡張を認める。•

治療

  • ヘルニア環納・修復術、壊死腸管切除術。
  • 最近は腹腔鏡下手術による腹腔外からのアプローチが一般的

閉鎖孔(obturator foramen)

  • 骨盤腔の坐骨、恥骨と腸骨に囲まれる三角形の空隙
  • 骨盤腹膜、内閉鎖筋と外閉鎖筋で閉じられている

Richter(型)ヘルニア

  • 腸管壁の一部(通常は腸間膜対側)のみが嵌頓・絞扼する特殊なヘルニア
  • 腸壁ヘルニアとも呼ばれる
  • Scarpaの法則
  • 部位は大腿ヘルニアが最も多く(大腿ヘルニア軟頓の10-33%)、腸管は回腸が多い

Scarpaの法則

  • 腸壁全周の2/3以上が嵌頓すると完全腸閉塞を起こす
  • 1/3だけでは腸閉塞を起こさず鼠径部痛や大腿部痛だけを訴えることがある
  • 半周程度では不完全閉塞を起こす

遠隔画像診断した症例:硬膜動静脈瘻(Dural arteriovenous fistula)

  • 先天的な血管奇形ではなく,硬膜に後天的に生じる
  • 外傷後に発生するものもあるが,多くは原因不明の特発性
  • 中高年女性に好発する.
  • Interestingly, cranial DAVF are more commonly diagnosed in women over the age of 40 years while spinal DAVF are more commonly diagnosed in men over the age of 40 years.

硬膜動静脈瘻の発生機序

  • 先行する静脈洞血栓症が重要な役割を果たしている
  • 静脈洞が血栓で閉塞すると,閉塞部の硬膜を栄養している動脈末梢枝の内圧が上昇し,静脈洞内へ短絡が形成される可能性がある.
  • When a venous sinus blocks off for whatever reason, the brain can try to compensate by moving venous blood across other parallel or collateral pathways. In this process, however, a fistula may form, representing an abnormal collateral pathway to drain blood away from the brain.

硬膜動静脈瘻の発生部位

  • 脊柱管内を含め,硬膜の存在するあらゆる部位に発生する
  • 横~S状静脈洞に最も好発し,次いで海綿静脈洞に多く見られる.

硬膜動静脈瘻の臨床症状

  • 発生部位によってはさまざま
  • 初期には耳鳴や眼球結膜充血.
  • 皮質静脈への逆流がある例では出血や静脈性梗塞の危険性が高く,痙攣,高次脳機能障害,意識障害などをみることがある.

Cognard分類

AVF

  • Type Iは臨床的に問題にならないが,経過を追うとtype IIa+bなどへ変化することが知られている.
  • 塞栓術などの治療後に他部位に生じることもあり,自然治癒例も見られる.

硬膜動静脈瘻のMRI所見

  • 静脈洞内に限局している場合には,T2強調像で異常を指摘できないことが多い.
  • 皮質静脈への逆流が生じると,脳溝内に拡張した静脈を指摘できる場合がある.
  • 静脈うっ滞によって細胞外性浮腫や静脈性梗塞が生じると,T2強調像では高信号で,DWIではADC値が上昇した病変が見られる.
  • 浮腫の範囲は一般的に広範囲.
  • 皮質下出血を合併する.

画像検査の進め方

  • 皮質静脈への逆流がない症例ではルーチンMRIでの診断は困難である.T2強調像にて脳溝内に拡張した静脈を指摘できた場合には,
  • 通常の3D-TOF法によるMRAを追加して,静脈洞内の異常信号と硬膜動脈枝の拡張を確認して診断がほぼ確定できる
  • 造影はあえて必要ないが,造影を行う場合にはMR-DSAを施行すれば,おおまかな血行動態を知ることができる.
  • MRvenography(MRV)も静脈系の血行動態の診断の参考になる.
  • CTやCTAを追加する意義は小さい.
  • 最終的には選択的脳血管造影が必要である.

How is a dural arteriovenous fistula (DAVF) treated?

  • 開頭手術
  • 血管内治療

This process is known as embolization.

Sometimes, embolization is used alone to obliterate the fistula, or it may be used as a helpful additional option prior to open surgery, to help shut down as much of the fistula as possible prior to the operation.

Note that radiation techniques including stereotactic radiosurgery (SRS) have not been proven to be helpful in the treatment of DAVF, but they have been shown to be helpful in AVM treatment ( take me to the section on AVM now).

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DIMMスロットにSSDが発売 SanDiskから

そんなの有り?ってな感じの商品です。

CPUにもっとも近い場所に配置することで、いろいろな遅延がなくなるそうです。

HDDを使っていた頃に、diskアクセスが一瞬になればPCは全部一瞬で動くのかなと思っていましたが、どんなに進んでいってもゴールはRAMdiskくらいですよね。

メモリが安くなった頃に比較的大きい容量でRAMdiskを作成し、運用していたことが有りましたが、決して全てが一瞬にはなりませんでした。まぁ、すごく早くはなりましたけど。

PACSなどでもSSDを採用しているメーカーがちらほら有ります。すごく早くなっているそうなんですが、もともと2.5inchのHDDつかってるんですよね。普通に3.5inchのHDDでraid組んでるようなサーバーだと、LANの速度のほうがボトルネックになってる気がします。1000Mbpsだから125MB/sですものね?

遠隔画像診断だと、地域にもよりますが東日本は光ネクストですと1Gの回線はコンシューマー向けには提供されていません。下り200Mbpsでやってくわけですが、ローカルが100BASE-TXの施設もあるくらいですし、何とかなります。光ネクストでもipv6は1Gでるそうなので、必要であればipv6対応のルーターがあればいけますね。ただ、安いやつだとパススルーってだけでipv6対応なんて書いてありますから、ちゃんと使えるやつだとちょっと高いです。

話はそれましたが、業務のシステムにいれるにはSSDってまだ早いかなって思っています。普段使ってるPCには入れてますけどね。

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IEのwindowの位置を記憶させるには

IEのウィンドウの大きさが保存されません。
細かいことですが、毎回に遠隔画像診断する際にいつもの位置に移動してウインドウの大きさを調節するのは、ちょっとした手間ですが毎日のことなので、積み重なると大きな無駄になります。

仕事側いろいろなPACSのビューワーを見ることがあります。おっしゃっていただければすぐに設定します!!というのはよく聞きますが、ひどいところでは口ではいってますが、SEが一切病院に来ないなんてのもあります。来ても遅かったり、有料だったり、わからなかったり。
自社の製品の知識はあるけど、windowsの基本的な知識がなくて、平気でできませんとか言ってきます。
まぁ、PCが好きでその仕事についたわけではなくて、就活してSEやってるみたいな人が多いでしょうから、マニュアル以外のことはできないのでしょう。

このIEの話もそんな感じです。専用クライアントではなくて、Web配信する電子カルテやPACSが最近見受けられますが、開いた時のIEの挙動をコントロールしきれていない感じです。

なので、自分で設定してみました。

まず僕の環境では、レジストリエディタで、
HKEY_CURRENT_USERSoftwareMicrosoftInternet ExplorerMain
にある、「Window_Placement」を削除する必要がありました。

その後、IEを起動し、好きな場所に移動し、windowの大きさを整えて、Ctrlを押しながら落としました。

これで、好きな場所に開くように出来ました。遠隔画像診断の際に過去のレポートを参照するにはIEで古いサーバーに接続しなければならない施設があったのですが、いちいち位置を調整しなくてよくなりました。