カテゴリー別アーカイブ: 遠隔画像診断

fuyu59

遠隔画像診断した疾患;結核性髄膜炎(Tuberculous meningitis)

頭蓋内の結核

  • 結核性髄膜炎(頻度が高い)
  • 頭蓋内結核腫
  • 膿瘍,脳炎,粟粒結核(まれ)

中枢性の結核

  • 結核全体の約5~10%
  • ほとんどが血行性感染である。
  • AIDS患者においては4~19%にみられる。

病理所見

  • 膠様の滲出物による髄膜の混濁と肥厚が特徴的である。
  • この変化は脳底部の脳槽に最も強い
  • 「脳底髄膜炎」とも称される。

画像所見

  • 脳底部脳槽がTl強調像では等信号。
  • T2強調像やFLAIR像では高信号となる。
  • FLAIR sulcal hyperintensity
  • 造影後には髄膜の増強効果が見られる。
  • 肉芽腫がリング状・結節状の増強効果を示す。

髄膜の異常増強効果を示す疾患

  • DA(dura-arachnoid)型

限局性:髄膜腫などでのdural tail sign、悪性腫瘍の硬膜転移、開頭術やシャント術後、サルコイドーシス、関節リウマチ(リウマチ結節)、硬膜動静脈痩・脳梗塞・脳内出血の近傍の硬膜、頭蓋の腫瘍・炎症の近傍の硬膜、髄外造血巣

びまん牲:開頭術やシャント術後、クモ膜下出血後、superficial siderosis、髄膜炎(癌性髄膜炎を含む)、ムコ多糖症、spontaneous intracranial hypotension, idiopathic hypertrophic cranial pachymeningitis

  • PS(pia-subarachnoid space)型

限局性:サルコイドーシス

びまん性:クモ膜下出血後、各種薬剤の髄注、髄膜炎(癌性髄膜炎を含む)、サルコイドーシス、histiocytosis

脳底髄膜炎の鑑別

脳底部のクモ膜下腔を主体とした変化は,結核性髄膜炎にかなり特徴的。

  • コクシジオイデス症:米国西南部、中南米
  • クリプトコッカス症

肉芽腫性髄膜炎の鑑別疾患

  • サルコイド一シス
  • 真菌性髄膜炎(クリプトコッカスなど)
  • 梅毒性髄膜炎
  • 癌性髄膜炎
  • 嚢胞条虫症:結核腫が目立つとき

T スポット®.TB とは

  • Interferon Gamma Release Assay (インターフェロンγ遊離試験,以下IGRA)
  • BCG 接種や非結核性抗酸菌の影響を受けない
  • 日本では 2000 年のはじめころからクォンティフェロン®TB (以下,QFT)が使われるようになっていた
  • Tスポット®..TB(以下,T Spot)は IGRA の一つ
  • QFT よりも感度は高い、特異度は低いとの報告が多かったが 、変わらないとの報告もあり。
fuyu68

遠隔画像診断した疾患;胆道損傷(Bile Duct Injury)

  • 発症頻度は稀であり、腹部外傷の0.4-1.0%を占める。
  • 門脈損傷、十二指腸損傷・膵合併損傷、十二指腸損傷、膵損傷、肝損傷などの隣接臓器の合併損傷を伴うことが多い。
  • Steering wheel injuryによるものが多い。

発生機序

  • 圧迫説:右季肋部に加えられた外力により,胆道が直接脊椎に圧迫され裂傷をきたす。

Lewis KM:Traumatic rupture of the bile duct.Ann Surgl 8:237-242,1938.

  • 内圧上昇説:外力によりまず胆嚢が圧迫をうけて,その圧が胆管に伝わり裂傷をきたす。

Mason LB:Rupture ofthe extrahepatic bile ductfromnon Penetrating trauma.Ann Surg140:234-241,1954.

  • 伸展説:外力により肝が上方に圧排され,その結果総胆管が後腹膜に固定されている膵内胆管への移行部で過度の張力をうけて裂傷をきたす。

MohardtJH:Traumaticrupture ofthe common bile duct.Bull Northwest,Univ Med Schoo130:16-20,1956.

胆道損傷の分類

  • 胆のう損傷
  • 総胆管損傷
  • 肝管損傷(左右肝管、総肝管)
  • 本邦における集計では総肝管損傷は全胆道損傷の18%

中 山 和 道ほか:胆 道 損 傷 肝胆膵 8(2):195-202,1984

症状

受傷初期

  • 胆汁の化学的刺激による一過性のショック。(受傷後3~4時間後に改善するが、頻脈は残ることが多い)
  • 右季肋部の自発痛、圧痛(無症状のこともある)

受傷後3~4日後

  • 黄疸、腹部の膨隆

中 山 和 道ほか:胆 道 損 傷 肝胆膵 8(2):195-202,1984

画像所見

  • 周辺臓器の合併損傷
  • 胆管周囲の液体貯留
  • 初診時CTでは診断困難なことが多い

確定診断

  • 胆道胆嚢シンチグラフィ
  • ERCP
  • (CT cholangiography )
fuyu59

遠隔画像診断した疾患;中脳周囲非動脈瘤性くも膜下出血Perimesencephalic nonaneurysmal SAH

出血源不明のSAH

  • n4-vesselstudyを行っても出血源を同定できないSAHが4-22%ある。
  • nangiogram-negative SAHは一般的に予後良好とされる

分類

  • 中脳周囲非動脈瘤性くも膜下出血(perimesencephalic nonaneurysmal SAH)
  • 脳底槽のびまん性ないし前方にあるSAH
  • CTもCAGも正常で、症状および髄液が出血を示唆する場合

Rinkel ら : Stroke24 : 1403, 1993

Perimesencephalic nonaneurysmal SAH

  • 血管撮影で陰性のSAHの21-68%をしめる。
  • 大抵50歳くらいの比較的若い層に多い。
  • 1/3の例で発症前に激しい活動を見る。
  • 発症時の症状は頭痛以外は正常である。
  • 経過は順調で、再出血や症候性血管攣縮は有位に低い。

Kawamura ら : ActaNeurochir (Wien) 106 : 110, 1990

 

  • 動脈瘤破裂例が10%の頻度で存在するので、脳血管撮影の再検は必須。

Kallmes ら: Radiology201 : 657, 1996

  • 出血原因は橋前ない脚間層における拡張静脈ないし静脈奇形 潜在性AVMの破裂が考えられる。

Ronkainen ら : ActaNeurochir (Wien) 119 : 29, 1992

画像所見

  • 中脳周囲槽を中心とした高吸収域。非対称性にみられる
  • シルビウス裂の基部(37%)にみられても外側シルビウス裂までひろがらない。
  • 半球間裂後半部(17%)に見られても前半間裂にまで広がらない。
  • 脚間槽(96%)
  • 一側または両側の視交叉槽に広がる(46%)
  • 迂回槽(88%)
  • 一部四丘板槽(19%)

予後

  • 活動制限は不要で、2~3週間後に退院させその後正常生活にもどらせる。
fuyu68

遠隔画像診断した疾患;3型先天性嚢胞性腺腫様肺奇形(先天性肺気道奇形)(congenital pulmonary airway malformation type 3)

  • 肺の形成過程で気管支の閉塞機転の起こる時期と閉鎖のレベルにより先天性肺嚢胞性疾患の病因を一元的に説明しようとする考え方もある。
  • Stockerは1977年に嚢胞の大きさによりCCAMを三型に分類した。
  • その後1994年にはこの概念を病変の気道レベルと関連させて拡大し、Congenital Pulmonary Airway Malformation(CPAM)としてさらに広い範囲の肺嚢胞性疾患を包括して五型に分けた新分類が提唱された。(この新しい概念は注目を集めているが、完全なコンセンサスは得られていない。)

CCAMのストーカー(Stoker)分類

  • I 型大きいのう胞(通常、2cm以上)からなる
  • II 型多数の小さいのう胞(通常、1cm以下)からなる
  • III 型 微細なのう胞(通常、5mm以下)のため肉眼ではのう胞が明らかでない

Congenital Pulmonary airway malformation (CPAM, 先天性肺気道奇形)

Epidemiology

  • すべての先天性肺病変の25%
  • 4-26%の症例は、他の先天異常と関係していることがありえる。
  • 推定発病率:25,000-35,000妊娠につき1つの症例。

Subtypes

  • CPAM type 0 – acinar dysplasia (rare)
  • CPAM type 1 – bronchial/bronchiolar (65%)
  • CPAM type 2 – bronchiolar (20~25%)
  • CPAM type 3 – bronchiolar/alveolar duct(8%)
  • CPAM type 4 – peripheral (rare)

CPAM type 3

  • 3型CPAMはしばしば非常に大きく、全て、またはいくつかの葉に影響を及ぼす。
  • 腺房由来の異常で、末しょう気道または気腔の腺腫様増殖から成る。
  • 嚢胞と個体組織の混成から成る可能性があるか、完全にsolidに見える可能性がある。
  • 分化の不足があるので、妊娠の初期に発症すると考えられる。
  • 嚢胞は直径0.5cm未満で、非繊毛性立方上皮によって内側を覆われる。
  • 他の構築物は、繊毛性立方上皮によって沿って並ばれる。
  • 非常に薄い線維筋性の層と増加した弾性組織が存在し、2型病変と類似している。
  • 粘液を分泌している細胞と軟骨はない。
  • CPAMは散発的に起こる、そして、出現は母系要因(例えば人種、年齢または暴露量)に関連がない。
  • ほぼCPAMの出生前診断を有する患者の半分が出生時無症候性であるにもかかわらず、CPAMの予後はそのサブタイプに依存する。
  • CPAM 3型は、もっとも重篤な型の一つである。

合併奇形

pulmonary malformations

  • extralobar sequestration
  • bronchial atresia
  • polyalveolar lobe

renal malformations

  • cystic renal disease
  • renal agenesis

ovarian germ cell hypoplasia

malignant tumors

  • pleuropulmonary blastoma (bilateral type 4 CCAM with stromal cellularity) (14%)
  • rhabdomyosarcoma
  • bronchioloalveolar carcinoma (31% of type 1 CCAM)

chromosomal anomalies

fuyu1

遠隔画像診断した疾患;血管内リンパ腫(intravascular lymphoma: IVL)

  • 循環血液内で増殖している腫瘍細胞が脳と脊髄の両方でびまん性梗塞を引き起こす。
  • 血管板の腫瘍細胞は血栓症をしばしば伴う。
  • 影響を受けた血管のサイズと分布に従い、さまざまな臨床症状を示す。
  • 皮膚小結節またはプラークを伴う。(しばしば末梢血管拡張を合併する)
  • 特徴的な変化は、悪性リンパ腫細胞による脳や髄膜での小さい血管の拡張と閉鎖。
  • 中型の血管で見つからない。

画像所見

  • T2強調画像上で、大脳白質のpatchy high signal lesions。
  • 脳実質と脊髄または脊髄円錐に同時に見られる高信号病変は、血管内悪性リンパ腫症に特徴的。
  • T2WIhigh signal lesionsは拡散強調画像で高信号。

拡散強調画像の上で高い信号強度を示している白質病変の鑑別診断は

  • progressive multifocal leukoence phalopathy
  • gliomatosis cerebri
  • demyelinating disease, such as multiple sclerosis