臨床的脳梗塞分類
心原性塞栓症
動脈原性微小塞栓 artery-to-artery embolism
アテローム血栓性梗塞
境界領域梗塞 borderzone infarct
ラクナ梗塞
分枝粥腫型梗塞 branch-atheromatous disease (BAD)
Branch atheromatous disease(BAD)の総論
1989 年にCaplan により提唱
BAD の診断基準は、2006年に高木が提唱。①画像検査上の梗塞巣の形状(テント上の外側線条体動脈領域梗塞では、梗塞像が水平断で3スライス以上に及ぶもの。テント下である傍正中橋動脈領域梗塞では、梗塞像が橋腹側に接しているもの。)②病側主幹動脈の高度狭窄(50%以上)または閉塞や心房細動のないこと。の2条件が基本
BAD 病理に基づくもので MRI 画像で穿通枝入口部閉塞と診断されたものが BAD タイプの梗塞
ラクナ梗塞とアテローム血栓性脳梗塞の中間となる病態。
外側線条体動脈、傍正中橋動脈が好発部位。
本邦において諸外国より頻度が高い
発症後しばしば症状(特に片麻痺)が進行し治療抵抗性となることが多い。
分枝粥腫型梗塞は親動脈(主幹部から皮質枝)に生じたアテローム血栓性粥腫が、穿通枝分岐部から起始部レベルに高度狭窄ないしは閉塞をきたし、深部穿通枝支配領域の広範囲(中枢側から末梢まで)に病変をきたす
親動脈のアテローム血栓性プラークによる深部穿通枝分岐部の閉塞、親動脈から深部穿通枝起始部にかかるjunctional plaque、深部穿通枝近位側に生じる微小粥腫(microatheroma) が原因
ラクナ梗塞と比較して両側の範囲が大きく穿通枝の走行、支配領域に一致して長軸方向に進展する。
同一領域の複数の穿通校に閉塞をきたすこともある
入院時に比較して入院後に神経症状が増悪することがしばしばみられるので、症状が比較的軽微で改善傾向を示すラクナ便塞とはきちんと鑑別する必要がある
Branch atheromatous disease(BAD)とラクナ梗塞
穿通枝とは脳内主幹動脈から分岐した細い動脈であり、その閉塞によって生じるのが穿通枝梗塞
穿通枝梗塞としてはラクナ梗塞が広く知られており、単一の深部穿通枝の閉塞による脳梗塞と定義。主に高血圧症を背景因子として、穿通枝の脂肪硝子変性(lipohyalinosis)による閉塞が原因。CT、MRIでは直径 1.5cm 以下の小さな梗
塞
近年、穿通枝梗塞に症状が進行しやすい Branch atheromatous disease(BAD)
と言われる一群があり注目。
BAD の 発 症 機 序 と し て は、 穿 通 枝 が 主 幹 動 脈 か ら の 入 口 部 で 微 小 ア テ ロ ー ム 斑(microatheroma) により狭窄あるいは閉塞することによって生じる、画像上は長径1.5cm 以上の梗塞。
分枝粥腫型梗塞 BAD:糖尿病、高脂血症。 起始部のアテローム硬化性変化→プラーク形成
ラクナ梗塞 Lacune:高血圧。 末梢のlipohyalinosisによる閉塞
Branch atheromatous disease(BAD)の治療
治療法はその発生機序からアテローム血栓性梗塞に準じる 。
抗凝固薬、抗血小板薬、脳保護薬の多剤併用療法が有用とする報告が散見されるが、現状ではその進行を抑制する治療法は確立されておらず、また急性期では死亡や重篤な後遺症を残存することは少ないものの、その機能予後は必ずしも良好ではない
Branch atheromatous disease(BAD)の画像診断
梗塞巣は深部穿通枝の走行に沿って長軸方向に進展
外側線条体動脈や視床膝状体動脈のBADでは側脳室体部上衣下まで梗塞が進展することがある
深部穿通枝は起始部では動脈幹を形成し、末梢側で複数に分岐するので、血管長軸に直交する軸位断面でも、 高血圧性のラクナ梗塞よりも病変面積は大きい
梗塞は1つの深部穿通校領域に限局する
複数の深部穿通枝領域に広範囲に生じるものはBADではなく、中大脳動脈M1が一過性に塞栓性に閉塞して生じる梗塞
傍正中動脈や短回旋枝のBADでは軸位像で、橋腹側を底部とする3角形状の最終梗塞を呈する
ほとんどの症例では原因となる粥腫を検出することはできない
脳底動脈では傍正中動脈や短回旋枝起始部に限局性の壁肥厚、粥腫を検出できることがある
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