タグ別アーカイブ: 読影した症例

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遠隔画像診断した疾患;硬化性腸骨骨炎(Osteitis condensans ilii)

  • 単純X-pにおいて腸骨に局所的な効果像を見ることがある。通常、仙腸関節に隣接して下方のおよび中間部分を含む。
  • Barsony and Polgar が 1928に報告している。”sclerosing bone disease, easily demonstrable by x-ray and confined to the os ilii“
  • 硬化性腸骨炎は、男性より女性で見つかる良好な状態である。
  • 基本的に放射線学的診断である。
  • 原因として最も有力な仮説は、①恥骨結合の不安定性による仙腸関節のストレス。②妊娠によって脈管質を増加させた。
  • 臨床的所見は通常穏やかである。
  • 腰または殿部痛を呈している患者のイメージングの際発見される。
  • 炎症性の関節所見が通常、存在しないにもかかわらず、朝のこわばり、運動制限と多発性関節痛が起こる可能性もある。

画像所見

  • 関節裂隙は保たれている
  • Erosions はない。
  • 骨硬化像はX-pでは三角形状
  • Osteophyteの形成はない。

鑑別診断

  • 血清陰性脊椎関節症
  • 硬化性腸骨骨炎
  • 腎性骨ジストロフィー
  • 原発性上皮小体機能亢進
  • パジェット病
  • 骨転移
  • リンパ腫
  • 変形性関節症
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遠隔画像診断した疾患;膀胱破裂(rupture of urinary bladder)

外傷性膀胱破裂

-膀胱挫傷(膀胱壁のみにとどまった場合)

-膀胱破裂(全層に断裂が生じた場合)

  1. 腹膜内膀胱破裂:穿孔して腹腔内と交通した場合(膀胱頂部~後壁部分)。最も脆弱で、外力の影響を受けやすい膀胱頂部の破裂が最も多い。原因として腹腔内手術による医原性のものと尿で膀胱が膨張しているときに下腹部の外傷由来のものが考えられる。
  2. 腹膜外膀胱破裂:膀胱周囲で、腹腔外と交通した場合(膀胱側壁、前壁、三角部)。骨盤骨折と合併することが多い(75~80%) 。損傷部位は骨折部の近く膀胱頸部に多い。
  3. 腹膜内外膀胱破裂:①と②が合併した場合

自然膀胱破裂

  • 外力と思えない軽微な外力でも起こる。
  • 一般的に腹膜内破裂となる。
  • 発生率 1:126000
  • 死亡率 47% :due to chemical peritonitis and a bacterial peritonitis
  • 79%の症例が男性.
  • 膀胱の疾患(膀胱癌など)や膀胱壁が脆弱な高齢者に神経因性膀胱や前立腺肥大症の合併例または、多量の飲酒でも起こりうる。

血性尿素窒素、血清クレアチニン高値

  • 腹腔内膀胱破裂のため尿が腹腔内に貯留し、腹膜に分布する毛細血管を介して拡散・濾過・透析液ー血管内浸透圧較差にて尿毒素(Cre,K)が血管内に再吸収されている(逆腹膜透析) 。

BASAVARAJ, K.K. .J.R.Coll.Surg.Edinb., 46, October 2001, 316-317

A diagnosis of spontaneous perforation of the bladder should be considered in patients presenting with an acute abdomen in a relatively stable condition and blood biochemistry showing a disproportionately elevated urea and creatinine

Hematuria and an elevated level of blood urea nitrogen may help to diagnose a rupture of the urinary bladder in laboratory examinations.

腹腔内液貯留のdensity

  • 単純腹水、腸液:0~30HU
  • 乳糜腹水、尿:0HU
  • Biloma(血液を含まない,感染していない):20HU以下
  • 血液: 30~45HU(凝血塊は50以上)

Gore RM, Gore MD. Ascites and Peritoneal Fluid Collections.In:Textbook of Gastrointestinal Radiology.2nd Ed,W.B.Saunders,Philadelphia.1969-1979, 2000.

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遠隔画像診断した疾患;中脳周囲非動脈瘤性くも膜下出血Perimesencephalic nonaneurysmal SAH

出血源不明のSAH

  • n4-vesselstudyを行っても出血源を同定できないSAHが4-22%ある。
  • nangiogram-negative SAHは一般的に予後良好とされる

分類

  • 中脳周囲非動脈瘤性くも膜下出血(perimesencephalic nonaneurysmal SAH)
  • 脳底槽のびまん性ないし前方にあるSAH
  • CTもCAGも正常で、症状および髄液が出血を示唆する場合

Rinkel ら : Stroke24 : 1403, 1993

Perimesencephalic nonaneurysmal SAH

  • 血管撮影で陰性のSAHの21-68%をしめる。
  • 大抵50歳くらいの比較的若い層に多い。
  • 1/3の例で発症前に激しい活動を見る。
  • 発症時の症状は頭痛以外は正常である。
  • 経過は順調で、再出血や症候性血管攣縮は有位に低い。

Kawamura ら : ActaNeurochir (Wien) 106 : 110, 1990

 

  • 動脈瘤破裂例が10%の頻度で存在するので、脳血管撮影の再検は必須。

Kallmes ら: Radiology201 : 657, 1996

  • 出血原因は橋前ない脚間層における拡張静脈ないし静脈奇形 潜在性AVMの破裂が考えられる。

Ronkainen ら : ActaNeurochir (Wien) 119 : 29, 1992

画像所見

  • 中脳周囲槽を中心とした高吸収域。非対称性にみられる
  • シルビウス裂の基部(37%)にみられても外側シルビウス裂までひろがらない。
  • 半球間裂後半部(17%)に見られても前半間裂にまで広がらない。
  • 脚間槽(96%)
  • 一側または両側の視交叉槽に広がる(46%)
  • 迂回槽(88%)
  • 一部四丘板槽(19%)

予後

  • 活動制限は不要で、2~3週間後に退院させその後正常生活にもどらせる。
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遠隔画像診断した疾患;強直性脊椎炎(Ankylosing spondylitis )

  • 脊椎(背骨)や仙腸関節(仙椎と骨盤との間にある関節)、股関節や肩の関節などに炎症(痛みや腫れなど)が起こるいくつかの病気をまとめて脊椎関節炎とよばれ、強直性脊椎炎はその中の代表的な病気。
  • ヒト白血球抗原であるHLAのうち、ある特定の遺伝子型(HLA-B27)をもつ人が多い。
  • 脊椎、仙腸関節、股関節、 肩関節などの大関節の他、付着部病変もみられる。

疫学・頻度

  • 人種差あり。ドイツでは成人の1%に発病。一般的に白人では0.5%、日本人ではその10分の1以下
  • 日本人ではHLA-B27をもつ人は少ない
  • 中国・韓国人には日本人と比較してHLA-B27をもつ人が多い

男女比・発症年齢

  • 発病の年齢は10歳から35歳と思春期、青年期に多く、45歳以上で発病することは希
  • 男性に多い

病因

  • 現在のところ原因不明
  • HLA-B27との関連性が以前より注目

遺伝

  • HLA遺伝子は、両親とも陽性の場合は100%、片親が陽性の場合は50%の確率でこどもに引き継がれる。
  • しかし、HLA-B27陽性でも多くの場合(80%以上)、発病することはないので、親がHLA-B27をもち強直性脊椎炎があったとしても、脊椎関節炎を疑わない限りこどもがHLA-B27をもっているかどうかを検査する必要はない。

症状

  • 腰椎や仙腸関節(腰の下方にある)が侵される。
  • 適度な運動をすると痛みが楽になり、動かさないでいると悪くなるのが特徴で、夜間や朝方に強い痛みが起こる。
  • 症状に波があるのも特徴。
  • 脊椎が硬く動かなくなりますが、骨自体は骨粗鬆症によりもろくなる。
  • 眼の急性の炎症(虹彩炎)が3分の1程度。
  • 全身的には、初期には体重減少、疲労感、発熱、貧血。
  • 重大な骨外合併症として、心ブロックと大動脈閉鎖不全症などがあり、失神を起こすこともあるので注意が必要である。

診断・所見

  • 臨床的な診断には改訂NewYork基準(1984年)が用いられるが、 単純X線写真上の股関節の変化によっているので、早期診断は困難。
  • 脊椎病変は胸腰椎あるいは腰仙椎移行部よりはじまることが多く,病気の進行とともに全脊椎に広がっていく。
  • 最初に起きる椎体病変の単純X線所見は、 椎体辺縁のerosionによる欠損像でRomanus lesionといわれる。その周囲には硬化性変化を伴っており、 shiny cornerといわれる。これらの変化が進行すると椎体全体が四角にみえるようになり、squaringといわれる。
  • MRIではRomanus lesionよりも早期に活動性のenthesitisを指摘できると報告されており、椎体隅角にT1強調像で低信号、 T2強調像で高信号、造影後増強効果を示す。
  • 靭帯組織の骨化がsyndesmophyteといわれる。このような病変が両側対称性に多部位に連続して進展すると竹のような形態となり, bamboo spineとなる。
  • その他、破壊性の病変が椎体終板付近に形成されることもあり、限局性に終板が侵されればSchmorl結節。びまん性の破壊により輪郭が不整になり、不明瞭化すれAnderson病変と呼ばれる。
  • 強直性脊椎炎では仙腸関節炎が必発であり、CTでは単純写真では指摘できない仙腸関節炎による微小なerosionや硬化性変化を捉えることができる。MRIでは活動性炎症が存在すると、仙腸関節周囲にbonemarrow edema patternの信号変化を示す。

periosteal new bone formation:骨膜の浮腫により生ずる病変。RAではまれであり、脊椎関節炎(乾癬性性関節炎、反応性関節炎、強直性脊椎炎など)に見られる所見。

腸腰靭帯、仙結節靭帯の骨化:健常人においても見られるが,強直性脊椎炎(Ankylosing spondylitis)節炎(reactivearthritis, Reiter症候群)やびまん性特発性骨増殖症(diffuseidiopathic skeletal hyperostosis ;DISH)にみられることもあり、指摘しておくのが望ましい。

足底腱膜の付着部の棘状変化:慢性の足底腱膜炎、強直性脊椎炎の付着部変化の可能性

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遠隔画像診断した疾患;嚢胞性線維症( cystic fibrosis;CF)

  • 嚢胞性線維症( cystic fibrosis;CF)は全身の外分泌腺機能障害不全に基づく疾病
  • 特に膵と肺の病変の頻度が高い。
  • 膵臓と気道の粘液分泌線に極めて粘調な分泌液が生産されこれを閉塞することと、汗中への過剰の電解質が失われるのが特徴である。

疫学

  • 白色人種の中ではもっとも頻度の高い重篤な常染色体劣性の遺伝性疾患(出生児約2,500人あたり1人)
  • わが国では発症率は出生10万~35万人あたり1人程度

歴史

  • 1938年:膵臓と肺を冒す疾患として初めて記載された。
  • その後全身の外分泌臓器の疾患であることが明らかにされた
  • 1989年:cAMP依存性Cl-チャネルcystic fibrosis transmembrane conductance regu1ator(CFTR)をコードする原因遺伝子が単離された。
  • 日本のCF遺伝子変異が欧米のそれとは異なることが確認されており、欧米人用のスクリーニングシステムを用いても変異が検出されないと考えられる。

臨床病状

  • n難治性の下気道感染症と末期の呼吸不全を伴う呼吸器病変,膵外分泌機能不全, 胎便イレウスなどの消化管病変が代表的なものである。さらに、CFではそのほかにも胆管,汗腺,生殖器など全身の外分泌腺臓器が障害される。

呼吸器症状

  • ほぼ全例のCF患者に認められる。
  • 全CF症例の死因の約95%を肺病変が占める。

細気管支レベルの粘液の貯留、塞栓を形成

細菌(とくに緑膿菌と黄色ブドウ球菌、インフルエンザ桿菌)が粘液栓に定着

持続性の感染や炎症が成立する。

気管支は拡張し、そこにさらに粘液が貯留する

  • 悪循環が絶えることなく繰り返される。その結果、気管支拡張は増悪し、肺高血圧や肺性心を伴った呼吸不全をきたし、多くが死に至る
  • 気道病変は出生後に生ずるものであり、過分泌や異常な気道分泌物の貯留が先行し、感染の成立は二次的な病態である。

画像所見

  • 病態を反映して生後一ヶ月頃より肺尖部と背側の肺葉を中心にfingerlikeな粘液栓が見られるようになる。
  • 6ヶ月を過ぎる頃にはほぼ全例に気管支の円柱状、嚢胞状拡張を認める。拡張した気管内に粘液が駐留しair-fluid levelが見られることもある。
  • また、炎症を反映して肺門から広がる線状陰影や気管支壁の肥厚(peribronchial cuffing )が見られる。
  • 炎症により二次的に肺門、縦隔リンパ節の腫大を認める。
  • 肺の正常構造は破壊され肺気腫様のbullaも認められ、肺は過膨張する。
  • 肺動脈圧は上昇し肺動脈は拡大する。
  • 斑状の濃度上昇が認められ、部分的な無気肺を反映していると思われる