- 発症頻度は稀であり、腹部外傷の0.4-1.0%を占める。
- 門脈損傷、十二指腸損傷・膵合併損傷、十二指腸損傷、膵損傷、肝損傷などの隣接臓器の合併損傷を伴うことが多い。
- Steering wheel injuryによるものが多い。
発生機序
- 圧迫説:右季肋部に加えられた外力により,胆道が直接脊椎に圧迫され裂傷をきたす。
Lewis KM:Traumatic rupture of the bile duct.Ann Surgl 8:237-242,1938.
- 内圧上昇説:外力によりまず胆嚢が圧迫をうけて,その圧が胆管に伝わり裂傷をきたす。
Mason LB:Rupture ofthe extrahepatic bile ductfromnon Penetrating trauma.Ann Surg140:234-241,1954.
- 伸展説:外力により肝が上方に圧排され,その結果総胆管が後腹膜に固定されている膵内胆管への移行部で過度の張力をうけて裂傷をきたす。
MohardtJH:Traumaticrupture ofthe common bile duct.Bull Northwest,Univ Med Schoo130:16-20,1956.
胆道損傷の分類
- 胆のう損傷
- 総胆管損傷
- 肝管損傷(左右肝管、総肝管)
- 本邦における集計では総肝管損傷は全胆道損傷の18%
中 山 和 道ほか:胆 道 損 傷 肝胆膵 8(2):195-202,1984
症状
受傷初期
- 胆汁の化学的刺激による一過性のショック。(受傷後3~4時間後に改善するが、頻脈は残ることが多い)
- 右季肋部の自発痛、圧痛(無症状のこともある)
受傷後3~4日後
- 黄疸、腹部の膨隆
中 山 和 道ほか:胆 道 損 傷 肝胆膵 8(2):195-202,1984
画像所見
- 周辺臓器の合併損傷
- 胆管周囲の液体貯留
- 初診時CTでは診断困難なことが多い
確定診断
- 胆道胆嚢シンチグラフィ
- ERCP
- (CT cholangiography )