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遠隔画像診断医に絶対必要なもの


以前、足の裏にイボができて、皮膚科に液体窒素で焼いてもらうために受診したことがあります。最初3つ見られており、いちばん大きな1つはきれいになくなってしまいましたが、小さかった2つが若干残っていたので、久々にもう一度焼いてもらおうと受診した時のことです。大きなイボがあったことを、皮膚科の先生は全く覚えてない様子でした。
画像診断医が画像で勝負するよう、皮膚科医にとっては皮膚の所見が重要な診断根拠となっていると思っていたので意外でした。

自分がみた画像をどれくらい覚えているかは人によると思いますが、素晴らしい画像診断医は数年前に診断した画像のことでも覚えていたりします。

他の科でも、自分がまだ医学部の学生だった頃に、小児外科の先生ですが過去の手術台帳のどこをめくっても、名前を言えば、病歴、術式、診断名をすべて覚えていらっしゃる先生がいました。

自分が経験した症例の画像を覚えていかないと経験値が全く上がっていかないと思います。それこそ、外科医がやった手術を次から忘れていったら腕が上がらないようにです。

同じ病気でも様々な画像所見を呈します。その様々な画像所見のぶれを記憶し、自分の中でデータベースを作っていくことによって、単純に言葉では言い表せないような所見をとらえ、まさに職人芸と言われるような画像診断ができていくものと考えます。

これは多くの画像を見ることによって地道にレベルアップしていくしかないことなので、この画像をたくさん見るという事こそが他科に対しての唯一であり、また最大の優位点であると思われます。

もちろん、単純にたくさん見ればいいと言ってるのではありません。漫然と何の記憶にも残さず、ただ流れるように画像見ているのであれば、見ていないのと同じです。なので、たくさん見ているからといって優秀な画像診断医とは言い切れないとは思います。

しかし、画像の数を十分に見ていない医師がすばらしい画像診断医師になることはあり得ないと思います。数学のように考えれば分かることではないので、経験しなきゃ分からないと思います。日々の症例を経験値に変換していける者だけが真の放射線科医になりうると考えます。